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好きなものがなくちゃいけないのか?という話
高校生の悩み相談で一番多いのが「好きなものが見つからない」という案件だそうです。今回は、「好きなもの」探しについて書いてみたいと思います。
助長される「好き」幻想
メディアの発達により、多くの人が気軽に発言できるようになりました。ミュージシャンは言います―「夢をあきらめずに追いかけたからこそ実現できた」「小さいころから絶対なりたいって思って努力し続けた」「みんなも好きって気持ちを優先して諦めないでほしい」。キラキラ輝いている彼らにふさわしいセリフです。それだけに正しい気がしてきます。思わずうなずいてしまう人もいることでしょう。でも、いざ自分のこととして考えると、悩んでしまう人もいるのです。彼らのように思い切り追いかけられる「好きなもの」がない人は、どうすればいいのでしょう。
まず一つ安心してほしいのは、そういう人は珍しくなく、むしろ大多数が「取り立てて追いかけたい夢がない」人たちなのです。
人生は「成し遂げ」なくても成り立つ
世の中はとても理不尽です。命を大事に!と叫びながら、無茶をして夢を追いかけろと尻を叩きにかかります。大きな声を持たない素直な人は、喧騒の中で途方に暮れてしまうのです。もしそうなってしまったら、いったん耳をふさいでしまいましょう。一般的には、人生における基本的な目標は「自力で人間らしく生きること」です。職業にしたいほど好きなことがない、と悩むのはあまり意味がありません。命を燃やし尽くすほど好きな事がなくても、退屈さえしなければ、生きていけます。
結論・焦ることなどない
人生は退屈しなければ大成功です。退屈しないために、面白い世界を見つけに行ってみたらどうでしょう。全ての学部が一か所にまとまっている大学なら、他学部の授業を受け放題です。あるいは進学せずに、とりあえず働いてお金を作って、世界一周してみてもいいでしょう。世界を一周したくない人は、ワーキングホリデー制度を使う手もあります。海外へ行ってしまえば「つまらない」「どうせ自分なんて」と思っている暇はなくなります。目新しいものばかりで、言葉が通じにくく、お金も宿もサービスも何もかも手に入りにくいからです。必死で生きているうちに、自ずと何かに気づくことでしょう。
目指す職業が分からない、好きなことが見つからない人は、「業界」「職業」「職種」についてよく学び、心動かされた仕事を選ぶと良いでしょう。好き、でなくても、誰かの役に立てる仕事、世の中を暮らしやすくできる仕事でもよいのです。
人生の優劣は18歳では決まらない
差がつき始めるのは30歳を過ぎてからです。それまで自分が自分に対して誠実にやってこられたかで「優劣」は決まってきます。この「優劣」が何を指標とし、何を意味するかは人それぞれですが、「自己に対する評価」のような気がしてなりません。「好きなものをあきらめずに追いかける」よりも、自分に誠実な選択を繰り返していってください。使い古されたモデルケースに沿うのではなく、自らライフデザインする時代が来ているのは間違いないのです。
…本当にないの?
最後に、あなたの心に問いかけて欲しいことがあります。「好きなこと」「なりたい職業」本当にないのでしょうか。「好きなことはあるけど、仕事にする自信がない」だけではありませんか?もしそういう人がいたら、もちろんチャレンジしてみることをお勧めします。でもどうしてもだめ、だと思ったら…どうか、世の中の仕事についてよく調べてみてください。「すきなこと」に近いところに居られる仕事、必ずあります。そこには同じような人が集まってきているはずです。仕事は「誰とするか」も重要です。自分と全く異なる人ばかりの職場より、自分と共通点を持つ同僚と働く方がはるかに有意義なことでしょう。
ライター:西野コウ
大学卒業後、アルバイト → 契約社員 → 正社員を経験しているWEBクリエイター。イラスト制作、デザイン、コーディング、ライティング、ディレクション、できるものは何でもやってみるスタイル。でもディスカッションは苦手。